ふと思い立って日記を読み返してみた。
たしかに数日前の僕は彼をうとましく思っていたはずなのに、いつの間にこんなことになっていたのだろう。気づいたところで、この熱を手放すことなんて到底考えられない。
彼への反発が単なる裏返しであることなんてとうに気づいている。それを告げるには僕はあまりに弱いことも、彼は気づいているに違いない。溺れてゆく。すべてを受け止められることの心地よさに流される。どんなに傷つけても壊れない、その強さに甘えている。
雨が降り続けている。ノイズを増しながら部屋を侵食する。
閉鎖空間が発生しないことを祈りながら、彼を貪る。
彼がなにを考えているのか、その頬を伝う涙の意味が僕にはわからない。
僕を通して、その先を見つめているように思うのは、灰色の空に不安を煽られるからなのだろうか。
なにも考えられない。
ただこの熱ばかりが心地よい。