古泉に呼び出されて会ったその直後に、閉鎖空間が発生した。
あの横断歩道だなんて、どういうお約束なんだろうか。
不意打ちで落とされたキスの意味を探っている間もなかった。
待っていてくださいなんて、預けられた鍵をどうしたらいい。
今の俺にとってみれば二度めでしかない、古泉の部屋で寝転ぶだけだ。
こんなときに、俺にできることが見つからない。
伝えたいことがあるんだ。お前に。
誰にでもない、俺の目の前にいる古泉一樹に。
俺はまだ、言えてないことがあるんだ。ばか、帰ってこいよ。
九月がやってくる。その時に俺はこの言葉を、唇の熱を、まだ覚えているだろうか。
なあこいずみ、お前の言葉だって、俺はまだ聞いていないんだ。