何処かでこういう風景、見なかったか?
なんて理由に気付いたのが今になってなんて俺は自分で思ったよりも鈍いらしい。
軽く聞いてみただけの問いに、そうも明確に理由が返ってくるとどうしていいかわからなくなるな。
役割は観察、なんて、わかっちゃいるんだがな。わかっては。
ハルヒは満足そうで、何処にも不安要素は滲んでいなかったんだが...
小さな内緒話みたいな会話に俺は妙に納得していた。
ああそうか、きっと初めてじゃないんだろうな、なんて実感にも似ている。
見上げてきた長門が少しだけ不安そうに見えて、そんなことに俺は何処か泣きそうになった。手をつないでみたのはたぶん、置き去りにしているのが俺たちの方だからかもしれないが。
俺が覚えていなくても、長門が覚えていれば思い出す。
そうならいいと思うくらいには、事態を理解している。諦めが悪いのも俺だけどな。
忘れたくないだろ、何だって。表情が変わらない長門がそれでも手を離さなかったこととか。
少し先で不審そうに振り返った古泉の表情とか、驚いた朝比奈さんの顔とかと一緒にな。