間違いなくリセットされることがわかっていて、彼を誘い出したのは僕のわがままです。
デジャヴに裏づけされたこの感覚を、どう言い表していいのかわかりませんが......確実に明日はこない。
わかってしまうから仕方がない、といつだったか彼に告げた言葉が最もこの現状を表すに適切でしょうか。

彼は、今を忘れてもなくなるわけじゃない、といって笑いましたが、僕にはそうは思えない。
ひとは記憶によって生きてきた時間を認識し、そのパーソナリティを構築する。
それが失われた瞬間、僕は今の僕ではありえなくなる。
僕は知っている。記憶を改ざんされる可能性がもたらす恐怖を、三年前に、身をもって。

逃げ出した先に広がる空はひどくきれいでした。
みっともなく泣き続ける僕の頭を撫ぜてくれたその手の感触をどうしても忘れたくないのに。
この手こそがいまの僕を構築しているはずなのに。これは僕のものなのに。


僕は、次の僕も、次のあなたもいらない。



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