そろそろおわかりいただけてもいいと思うんですよね、あなたは僕のお嫁さんだということに。
さて、夏休み最後の日というのに、ほとんど宿題に手をつけていなかったらしい彼に、一緒に宿題をと誘い出したのはもちろん口実です。宿題の量はさほどありませんからね。
最寄り駅の前まで迎えに行けば、意識しすぎてがちがちになった身体で手土産など買おうとする彼の姿を早速発見、捕獲に成功しました。こんな様子ではしっかりついていて差し上げないと、そのうち変質者に連れ去られてしまいそうで非常に心配です。僕がいないところで痴漢にでもあっていないでしょうね? もしそうなったら機関の技術力をかすめてでもそいつを半殺し......いや足りませんね、社会的に抹殺してさしあげます。いえそれはともかく。
近所に最近オープンしたおいしいお菓子屋さんのプリンやケーキが食べたいと仰っていたので、帰りがけにそれを購入し、手をつないで僕の家へ。いずれ同じ道を一緒に帰れるようになれたらいいですよね。あ、でも僕の帰りを家で待っていただいてももちろん構いません。最初にいただくのは彼ということで。なんて、そんなこと言ったら彼が心臓発作で死んでしまいそうなので、いまのところはキスひとつで我慢しましょうか。
ところで、恋人に贈るものといえばやはり薔薇ですよね。というわけで、いままで無駄に貯まっていた機関の手当てをようやく有効活用することができました。僕の家のソファがお気に召したのか、宿題にひと段落ついてからそちらでお昼寝をする彼の傍に、今朝がた届いた薔薇の花束を飾ってみたのですが、なかなか赤もお似合いになりますね。起き抜けの照れた顔を写真に収めさせていただきました。これからもたくさん写真を撮っていきましょうね? 今度は一緒に撮ってみましょうか、そう言えばまた感極まって泣きそうになるあなたが、ほんとうにかわいくてたまらない。
僕になにかしてほしい、なんて顔をするだけじゃダメですよ。わがままは口に出して、ちゃんとお願いしてくれないと。心配しなくたって、あなたを独りになんてさせませんし、嫌いになったりなんて、ましてや遊びだなんてそんなことありえませんから。差し出したプリンでご機嫌がなおるなら何個だってご用意しましょう。どうせ僕の部屋の冷蔵庫なんてたいしたものは入ってませんし(いずれあなたがなんとかしてくださると嬉しいのですが、ね)。傅いて指先にキスがほしいなら、いつだって跪く準備はできてますからね、お姫様。
ああそうだ、僕のことで頭がいっぱいになってくださるのはうれしいのですが、一人のときには十分気をつけるようにしていただかないと......帰り道、心ここにあらずでふわふわと車道に出て行ってしまうんですから。轢かれたらどうするんです。こっちのが危ない、だなんて涙目で言いますけどね。
それなら、僕に惹かれたほうがいいでしょう?